5、長友呼んで来てー!と叫んだ夜。
一見、運動などしていなさそうな丸の内キャリアウーマンA氏。(実際はダンスにヨガなどしているそう。)
そんなA氏は海外でサッカーを観にいくのが好きだそうで、スペインでは一人でクラシコ(FCバルセロナ対マドリード)も観に行ったそう!すごい!
今回の旅も日本で色々プランを考えている段階で、サッカーを観に行かない?という事になりました。
そうイスタンブールには日本代表の長友選手が所属している(その当時。2020年8月〜マルセイユ所属)ガラタサライがあるのです。しかもイスタンブールにいる日程で試合がある!
海外でサッカー観戦なんてワクワクするぅぅぅ〜!!長友見れるかなぁ!なんて楽しみにしていました。
あんな大変な事だったなんて、つゆ知らず・・・。
あっここから話はかなり長くなります笑
イスタンブール2日目のメインイベントはサッカー観戦!
長友選手が所属するガラタサライの試合を観に行きます。
けど、この段階でまだチケットを取れてません。
日本からチケットを買うサイトを見ていたのですが、実際より結構高い値段で売られており、
現地で買うことにしました。
外国人がチケットを買うには手続きがややこしいらしく、日本からトルコのサッカーリーグのサイトに、あらかじめ会員登録をいていたもののサイト内で私たちの情報が連動されておらず、
ホテルのフロントの人に朝から色々手伝ってもらい、調べてもらいましたが、結局ネットで予約できず・・・。
この段階でもうすでに数時間ロス。大変だ。
試合は夜からなので、それまで買い物をしたりしてあまり遠くへ行かないで
早い目にスタジアムへ行って、直接当日券を買うことにしました。
一筋縄でいかないのも旅の醍醐味!と思うことにしよう。そうすれば逆に萌える。
サッカー観戦までの時間の過ごし方はこちら
今回の試合はガラタサライのホームゲームとあって駅は賑わっています。
海外サッカー観戦常連のA氏は
「混み合ってる駅や電車の中はスリがいるから気をつけてね!」と。
怖いわぁ。まだ幸い、海外でスリに合ったことがありません。(いや、あるかもしれないけれど気付いていない。)
3人で駅の構内を歩いていると、妹の後ろにピッタリ張り付けている男女の2人組がいる・・。
確実に妹は狙われている。
この3人の中で妹を狙うあたり、さすがだ。見る目がある。
何せうちの妹はトロい。
こんなにピッタリマークされているのに気付いていない・・・。
妹に「アンタ、さっきから狙われてんで。後ろにピッタリ付かれてるけど。気ぃ付けや。」
というと、妹は「えっ!嘘やん!」と妹が思いっきり後ろを振り返ると、男女の2人組はどこかへ行きました。今までスられなかったのが不思議だわ。いや、気付いてないだけかも。
ガラタサライのホームスタジアム、トルコ・テレコム・アリーナへは駅からユニホームを着た人がたくさんいるので迷いません。
いざ、スタジアムにつくと時間が、まあまあ、ありません!
急いでチケット売り場まで行くと、すごい長蛇の列!!
小一時間待って、チケット販売締め切りギリギリになって順番が回ってきました。
そこから英語が話せない販売員の人だったため、人が入れ替わり立ち替わり、やれパスポートだの登録番号だの色々一悶着があり結構時間がまたかかって、やっとの思いでチケットを買えました。
ほとんど英語で対応してくれたのは外資系の会社に勤めているA氏!さすが!
本当に助かったぁ!私たちだけだったら絶対諦めてたわ!!
晴れてチケットも手にして、いざ入場!!
その前にゲートでセキュリティーチェックがあります。
金属探知機はもちろん、ボディチェック(女性は女性のスタッフが)があります。
事件です。
私たちはサッカー観戦の前に色々ショッピングをしている。
お土産、そしてスタジアムで食べようとお菓子、飲み物など・・・。
全部持ち込みダメ!没収!!
私のチェックを担当した現地のおばさんに限っては、私の化粧ポーチの中身まで見せろと言い出し、ボビーブラウンのリップ2本(計7000円相当)もダメだと言い出した。
「えっっ!!これリップだよ!!」と実際塗って見せるもダメ。と手で×とサインした。
うそでしょ・・・これ没収されたら、ここからの旅は全部顔色最悪な写真しかなくなるやん!
一緒にワセリンのリップ(300円)が入っていたので、それを代わりに差し出すも
またもや、おばさんは×マーク・・・。
なんでやねん!!!300円のワセリンは良くて7000円のボビーはダメなのぉぉぉぉぉお!?
と日本語で叫んでみるも容赦無く没収。ゴミ袋に私のボビーブラウン(7000円相当)は消えていきました・・・。日本に恨みでもあるん?!おばちゃん!!
しかも、それだけでは終わらなかった。私の一眼レフまでダメだと言い出した。
さすがに無理!!!!
これだけはお許しください!!!と恥を忍んで命乞いさながらの粘りを見せました。
見かねたおばさんは、偉い人であろうスーツを着た割腹のいいおじさんを呼んできた。
おじさんはおばさんから事情の説明をされている。話の途中チラチラこっちを見てくるおじさんに、
お願い!お願い!と手をすり合わせてお辞儀しまくりました。
おじさんが近寄ってきて、「どこから来たんだ?アイツ達も友達か?」とおじさんが指した指の先を見ると、大荷物の妹もA氏もセキュリティのご婦人方に捕まっていた。
日本人3人に大騒ぎ。
「そうです。」と恥ずかしそうに答えると。
偉いおじさんは「今回だけだよ。本来カメラも没収だ。遠い日本から来てくれたから、今日は見逃します。ナガモトの応援しなさい。」と!!長友だけどね。と思ったけど、おじさんの恩情に心から感謝!!
涙目で偉いおじさんに「サンキュー!サンキュー!」と心からのお礼を言い、ダメもとで「リップは?」と聞くと「それはダメだ。」と。
やっぱり。
妹は、チェックする人が優しい女性スタッフだったらしくお菓子だけの没収で済んで、A氏はお土産全部没収と携帯のバッテリーが同じく没収の危機だったらしいけど、なんとか逃げ切ったよう。
たくさんの犠牲を出し、晴れて無罪放免となった私たちは、やっと入場することに!
そして、スタジアム内に入る最後にまたセキュリティー。嫌〜な予感はしたものの、きっと話は伝わっているだろうと
堂々とゲートでチェックを受けると、またもや
「カメラはダメ!」と女性スタッフ(今度は若い。けど銃を持っている。)
「いやいやいやいや!!!さっき入り口のゲートセキュリティがOKって言ったもん!!聞いてください!!偉い人が良いっていうたもん!」と、
それでもノーと言うセキュリティスタッフ。
「わかりました。長友に預けておいてください。長友呼んでください。NAGATOMO!」と無茶苦茶な事言ってみるも、ノー。まぁ、そのノーはわかる。
今回はどうやら英語が通じない・・・。あかん・・・。後の2人はもう中に入ってしまった・・・。無情な。
女性スタッフも困り果ててる様子。ごめんなさい。本当に困らせているのはわかってます。けど、リップと違ってこのカメラを諦めるわけにはいかないし、中ばサッカー観戦を諦めようかと思った瞬間、小さな男の子を連れた男性が
「どうかしましたか?私は英語が喋れます。」と英語で話しかけてきてくれました。
神様降臨。
一連の事情を片言の英語で話すと、男性は理解してくれたようで女性スタッフに翻訳してくれました。すると、女性スタッフはどこかへ無線で連絡している。
無線で話終えると、子連れの男性に何か話している。ドキドキ。判決を待つかのような気分。
一緒にいる男の子も不思議そうに私を見ている。ごめんね。そりゃそんな目になるよね。
男性が私の方に来て優しく微笑みながらゆっくりとした英語で、
「カメラ本体は今回は持って入っても良い。けれどバッテリーはここで抜いて、このあなたの
傘の中に入れておきなさい。(雨が降っていた為、傘を持っていました。みんな傘はゲートにおいていくシステム)もしあなたのバッテリーが無くなっても責任は負いません。ゲームが終わったら必ずこのゲートに戻って来なさい。だって!わかったかい?良かったね。」と
「!!!」
びっくりしながら嬉しそうに女性スタッフの顔を見ると、女性スタッフも笑顔で頷いてくれました。優しさに涙が出てきて、
「サンキューベリーマッチ!!サンキューベリーマッチ!!」と2人に、いや男の子含めて3人に深々と頭を下げると、女性スタッフは私の肩を優しくポンポンと叩いてくれ、
子連れの男性、いや神様は「良かったね。ナイスゲームだと良いね!さぁ楽しもう!」と
男の子と手を繋いで爽やかに去って行きました。
心から感謝の気持ちを伝えたいのに、私の語学力の無さに悲しくなりました。
私も困っている人がいたら助けれる人になろう。
泣きながら、スタジアムの中に入るとセキュリティで止められている私を助けない無情な2人がいました。
大変やったんやから!!と説明するも気にしてない様子・・・。
「良かったじゃん!」って言い放たれました。まぁ良いか。カメラも無事だし。
さぁ気を取り直して応援するぞ!
素晴らしいスタジアム!!
生憎の天気で極寒ですが、世界一熱いサポーターと言われるガラタサライの応援でスタジアムは熱気ムンムン!!迫力満点で鳥肌が立ちました。
宗教がらか、わかりませんが観客のほとんどが男性で、しかも顔の濃〜い、髭をはやしたような人ばかりで最初は怖かったけど、通りをあけて通してくれたり、みんなジェントルマンでした。
長友もスタメンで嬉しい!
海外サッカー観に行きたくなるA氏の気持ちがわかりました。
なんてたって迫力満点!スピードも速いし、サポーターの応援も凄いし、その場にいてすごく楽しかったです。
お菓子はゲートで没収されたので、売店でポテチゲット!
売店のおじさん達も私が日本人だと言うと「NAGATOMO!NAGATOMO!」と言ってくれた。愛されてるねNAGATOMOさん!日本人として誇りに思うよ長友!とポテチを食べる。
長友選手、交代。これがガラタサライ最後の試合になったよう。
観れて本当に良かったです。
試合は5−0でガラタサライの圧勝!サポーターも大盛り上がりで、最高に楽しい試合でした!!
そして、私のカメラのバッテリーはと言うと、
言いつけ通りに入ったゲートに戻ると、さっきの銃を持った女性スタッフがいて、心配そうにキョロキョロしていました。
私を見つけると、「ああ!」と近寄ってきて微笑んでくれました。
バッテリーの責任は負いません。と言っていたのに、気にかけてくれていたんだ!!
とわかってまた涙が出てきた。無事、傘の中にはバッテリーがありました。
間違えて持って行かれないように見ていてくれてたのかなぁ・・・。
良い人だなぁ。迷惑かけたのに!!精一杯の感謝を伝えてお別れをしました。
いろんな人のおかげで、素晴らしい旅の思い出になりました!
後日、イタリアにサッカーを良く観に行く別の友人にこの話をすると、
基本サッカー観戦は手ぶらで行くもん!そんな荷物持ってる人おらん!恥ずかしい!
と怒られました。日本のサッカー観戦とはまた違うので、行かれる方は注意して下さい。
とんだバタバタ劇でしたが、
大変勉強になりました!
助けてくれた方に心からの感謝を!!
つづく